トップページ企画紹介>彷徨録

【検証:】管理者彷徨録&ときたまなぐりがき

top_photo
【検証:近未来交通地図】管理者である551planningの、“取材”と称して日本全国をふらふらしている態を記録するとともに、ときたま書き散らしもやらかすことにしました。

【2013.02.18 Monday】

第1回 地域バス交通活性化セミナー聴講

【追記】交通エコロジー・モビリティ財団から講演録が公表されました。是非ともそちらを御一読賜りますよう…。


交通エコロジー・モビリティ財団主催によるセミナーに参加。なにより小嶋光信両備G代表・CEO+松本順みちのりHD代表取締役+加藤博和名大大学院准教授という御三方の講演&鼎談には、ましてやこの時期にとあって注目、加えて交通関連「インドア系」イベントカレンダー収録に際し当初「バス事業者をはじめとした地域バス交通に関係される方々のご参加を」との注意書きにコソッとイチャモンを付けたところ「〜方々をはじめ、どなたでもご参加できます」と直ぐさま修正賜った以上は否応あるわけが無くというわけで。

会場は神田駅前の小奇麗なビル、教室2つ分程といったスペースにはずらりと椅子が並び、きっちりと背広の方々で埋め尽くされることに。受付時にちらと名簿を見た限りには国交省関連と事業者の方々が大半だった様子。とはいえ内容は現実的かつ利用者サイドとしても多分に刺激的であった。
前半の講演では、小嶋氏が「存続危機にある地方公共交通の救済策」と題し、津エアポートライン(公設民営の実証実験成功例)から和歌山電鉄(公有民営法成立の一助に)、中国バス(補助金制度に経営インセンティブ導入促進)、そして昨秋の井笠鉄道に至った事例紹介から、再建スキームとして「結果赤字補填型」から「見込経営努力型」への補助金制度有益化、所謂公設民営と公設民託の機能を併せ持った「準公設民営」方式が最適と提唱。次いで松本市が「『実質的PFI』の持続性確保のために」と題し、「長期契約化」「原価基準撤廃」「動機付け」の補助金改革と「財務再構築」「経営改善」「戦略の再設定」の企業改革次第で民営としてバス事業が成立し得ると主張。みちのりHDにおけるICカード導入効果(福島交通)、通学定期券販売強化と戦略的運賃値下げ(茨城交通)、八幡平市における一般路線・廃止代替・患者輸送バスからコミュニティバスへの再編(岩手県北バス)という具体例をも含め今後は「広域連携」により経営支援を続けてゆくと結ぶ。
休憩を挟んで加藤氏が「供給者目線を捨て、コミュニティビジネスへ進化しよう」と題し、東日本大震災での事業者の高いモラルとバスゆえの即応的な緊急輸送体制という実例がありながら、規制緩和によって運転手賃金はわずか5年で16.9%も減る(全産業では2.7%減)という限界的な状況と、なお見た目の低コストに走る市町村、そしてお願いにすがる住民・地域という実情こそが井笠鉄道「破綻」に噴出したと整理。地域公共交通は目的ではなく手段であり、収益事業から公共事業への発想の転換、そして「目的の明確化」「適材適所」「一所懸命」「組織化」「カイゼン」という活性化・再生5ヶ条(これテストに出るそうで)を示しつつ、事業者・市町村と利用者はじめ地域住民・沿線企業等が一堂に会する改正道路運送法による地域公共交通会議および地域公共交通活性化法による法定協議会を活用することで、単なる派遣事業ではない「半公設民託」をと、更には両者を統合しヨーロッパの運輸連合並みに進化させた「地域公共交通運営協議会」構想をと掲げた。

そして鼎談へ。加藤氏が2氏に振る形で進行、時間が惜しいほどの深いやり取りを当方の殴り書きメモから無謀にも超乱暴に書き起こしまとめてみると、銀行出身の小嶋氏は丁度オイルショック後に両備運輸入りした際、物流や港湾荷役業の前近代的状況を目の当たりにしたことを述懐しつつ、当時まだ見通しありとされた運輸業において、中国バスや井笠鉄道を見た時にほぼ同じ姿であったことに愕然としたとか。「準公設民営」は韓国のバスにおける評価システムや、社会目的であれば公が整備すべき(環境対策やバリアフリーに何故補助なのかと指摘された由)という部分に影響を受けているとした上で、日本の公共交通は戦術論ばかりが先んじて戦略性や「目標」がない(その意味で法定会議で目標を必要とする「半公設民託」は準公設民営と同義であるとも)、両備Gでは「エコ公共交通大国構想」を打ち出して交通基本法から環境、高齢化社会を見据えてゆくべきと主張。
リースや投資会社を経て産業再生機構に入った松本氏は、バスと百貨店とテーマパークから案件企業を選べとされた際に“なんとなく”バス=九産交を選んだのだとか。観光面などの広域経済寄与も選択のポイントであったそうだが、「赤字補助に加えて更なる国の支援が必要なのか?」という問題提起を念頭に置いて取り組んだ由。その意味で、世界的に公共交通は公的運営が主流のなかで民営中心の日本は異端であるとの部分では、国内公営交通は今なお高コストであることは事実であり民活の余地は多分にある、一方で例えば東京から岩手・宮古(駅)までと検索サイトに入れると、106急行ではなくJR山田線で結果が示された−という例(註:現在は主要各社対応済の様子)からも、ITをはじめとした多方面でバスという存在がなお知られる余地があるとともに、老々介護ならぬ老々公共交通もまた今後の課題であろうと。地域公共交通を支えてきた事業者グループの体力維持向上のためにはいたづらな規制緩和による安全軽視の事業者との不公平な競合状況を先ず止めるべきだと結んだ。
その2氏を前に「行先表示で「車庫」行は止めましょうよ」と中国バスの写真を、「背景の写真はイメージです」とし、○○市バス路線概要図ときちんと消しつつも斜め下の「水戸駅北口」という文字はしっかり残した写真を示しながら、のりばが分からない→ポールが多すぎる→案内所も会社別→運転手で言うことが違う…等々実例を示すという加藤氏だったが、締めの部分で「バスの拠点が利用者・住民の拠り所となって、まさしく「車庫が行先」になることを祈念する」との旨で結んだのは鮮やか一本!であったなと。

鼎談のまとめについては当方の意訳が多分に入っており、論者の主張とズレがあるかもしれないので十分差し引いて頂きつつ、近々出てくるであろう同席者の方々のまとめに期待するとして、こと今回のセミナーにおいて個人的に知りたかった「公設民託」の意味が、「準公設民営」と「半公設民託」なる新しいコトバか出てきた上に両者が同義であるとなる展開には驚かされたものの、その辺りをひっくるめて、地域公共交通が目指すべきアプローチ論は整理共有化されたかなという印象を受けた。確かに地域事情がそのアプローチ論で全て賄えるかは更なる議論は求められるわけで、参加者個々が「新たな気付き」を得たかまでは推し量れないものの、少なくとも利用者という立場にあっては共助という視座のために多面的な「見える化」にまず期待したいなと実感した次第。
それには是非とも第2回、3回…と続くことを願うばかりである。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

search this site.

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< June 2018 >>

archives


ジオターゲティング
RSS表示パーツ

selected entries

categories

recent comment

recent trackback

links

RSS表示パーツ

others

powered

a8 a8
無料ブログ作成サービス JUGEM

テンプレートのpondt

tw
top